発達特性のある子、どこまで園に配慮をお願いできる?

ライター:保育士*ひよこ先生

2024.06.12

発達特性のある子は、コミュニケーションや感情のコントロールなどの面において困り事に直面することが多く、その影響は日々の生活にに及びます。特に、保育園や幼稚園などの集団生活の中では、発達障がい児にとって重要な成長の場であると同時に、配慮が求めたくなる場面が多くあります。

子どもにとっての保育園の役割

保育園は、子どもにとって社会性を育てる場所であり、他の子どもたちとの関わりを通じて、自己理解を深める場でもあります。このため、保育園には発達特性のある子に対しても適切な配慮が求められます。適切な支援があれば、発達障がいの有無に関わらず、自分の能力を最大限に発揮することができ、自己肯定感を育むことができます。

どんな配慮があるの?効果は?

多くの保育園では、発達特性のある子のための個別支援計画を作成し、それに基づいて教育や支援を行っています。この計画は子どもの特性やニーズに合わせて都度調整されていて、先生はその計画を基に支援方法を工夫します。発達特性のある子でも過ごしやすい環境を作る環境設定を行っています。具体的な配慮の例をご紹介していきます。

*視覚的なサポート*

目からの方が情報が入りやすい視覚優位な子どもに対して、絵カードや写真を使用して、一日の流れや活動内容を分かりやすく示します。耳から入ってくる情報より、目から入ってくる情報のほうが具体的にイメージできるため、子ども自身が次に何をするのかを理解しやすくなります。

*静かなスペースの確保*

感覚過敏な子や集中するのが難しい子、癇癪が起こってしまった子が、安心して過ごせる静かなスペースを設けます。例えば、保育室の一角にパーテーションや大きな箱を設置し、その子が落ち着くアイテムや遊具を常に入れておきます。本人が安心したいときにいつでも自由に出入りできるようにしておきます。

*個別支援のサポート*

集団活動が難しい子や一斉指示が入りにくい子に対しては、必要に応じて個別に保育士がつき、活動をマンツーマンでサポートしたり、子どもの発達にあわせた別の活動をサポートし個別支援を行います。

*コミュニケーションのサポート*

言葉でのコミュニケーションが難しい子には、絵カードやコミュニケーションボードなど言葉を使わない方法でコミュニケーションを促します。指差しや視線で意思を伝え合うことでより、子どもが自分の意思を伝えやすくなります。

*保護者との連携*

保護者との定期的なミーティングを行い、子どもの現状や課題について共有します。保護者の意見や情報も取り入れながら、支援方法を見直していきます。

*専門家によるサポート*

実際に療育施設に通わなくても保育園と専門機関が連携し、「保育所等訪問支援」などを利用することで、保育園に通いながら専門的な支援や助言やサポートを受ける事ができます。これにより、保育園の先生側も日常での支援方法を学ぶ機会にもなります。

保育園との繋がりの大切さ

ママパパが発達特性のある子や発達障がいのある子を育てるにあたって、保育園の密な連携が不可欠です。自分の子どもの特性や具体的な困りごとを保育園に伝え、それを基に保育園は適切な対応を考えます。また、保育園での様子や困難さをもとに、家庭での対応策を保護者にアドバイスすることが出来ます。こうした双方向の情報共有と協力体制が、子どもにとってもママパパにとってもいい環境を作る事ができます。

まとめ

残念ながら、昨今の保育士人材不足が叫ばれる保育園では子ども一人ひとりに対して無制限の支援を提供することは難しい部分もあります。ママパパと保育園がお互いの立場を理解しながら、最善の対応を模索することが大切です。何がどこまで配慮できるかを園とコミュニケーションを取りながら子どもが楽しく園生活を過ごせるといいですね。

ひよこ先生

経歴:保育士 18年目

保育士経験18年。すでに成人した3人の娘の母です。


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