【言語聴覚士監修】友達との会話が上手くできない子へのサポートは?

言語聴覚士*はる

2025/03/10

はじめに

人と会話する場合には、相手の話を聞いてその内容にあった言葉を選び発することを繰り返していきます。
しかし、子どもの中には話を聞いて内容を理解し、何て返すかを考えてさらに言葉で表現する。この一連の流れをスムーズにくり出すことが苦手な子がします。
今回は、友達との会話が上手にできない子への接し方についてご紹介していきます。

なぜ会話が上手にできないの?

年齢が少しずつ大きくなって、話せる言葉が増えていくと、お友達とのやりとりの機会も増えてきますよね。
その中で、うなずいたり、ニコニコしていたりでうまく会話に入れない様子や、 気持ちがよそにいってしまい、いつの間にかみんなとのおしゃべりの輪から外れていく様子などがみられると心配になりますよね。
私も仕事で関わる子供たちに、「お話しないの?」と聞いてみると、「分からない」と困った様子でした。

主な理由は3つある

なぜお友達との会話が上手にできないのか、理由は大きく分けて 3つあります。

抽象的な言葉や曖昧な表現が伝わりにくい

話などの中に「もう少し」などの曖昧な表現があったり、回りくどい言い方があったりすると相手が何を言いたいのか理解できずに困惑してしまうのです。
特に、子ども同士の会話だと、まだ発音の未熟さや言い回しの幼さとがあって、余計に難しいのも原因の1つです。

感情がわからない

例えばお友達が泣いているときに、「なにかあったの?」「悲しいよね」などと質問や共感の声をあげますよね。しかし、感情の理解が難しい子は泣いているお友達がいても気にしません。つまり会話のスタートもないのです。
 別の例をあげると「昨日手をぶつけちゃってね」と伝えると、「え!?どこ?痛かった?」「どこにぶつけたの!?気を付けないと」などの声掛けをし、会話がはじまりますが、相手の感情の理解が難しい子は「うん」で終わることもあります。そうすると、全く会話になりませんよね。
どんな状況がどんなことに繋がり、どんな感情を引き起こすのかという一連の流れを理解する必要があるのです。

言葉でどう表現したらいいか分からない

聞いた話が理解できても、答えるときになんて表現しようと考えているうちに話がすすんでしまい、思ったことをうまく伝えられない場面も多いです。
家族など関係性が深い相手だと先回りして、会話が成立し幅を広げられますが同年代のお友達とは難しいですよね。

お友達と会話が上手にできるようになるには?

子どもが友達との会話に苦手意識を持っている場合、以下の方法でサポートすることが効果的です。

コミュニケーションの基本を教える

子どもに相手の話を聞く、適切なタイミングで話す、興味を持って質問するなどの基本的な会話スキルを教えることが重要です。 絵本を用いたり、ボールやマイクを使って話をする人、聞く人の役割交代をしながら教えるのもいいですよ!

ロールプレイを活用する

実際の会話の場面を想定したロールプレイ(予行演習のようなものを)を通じて、友達との接し方や話し方を練習するのもおすすめです。ソーシャルスキルトレーニング(SST)でもよく行われます。

多様な人との交流を促す

家族以外の親戚や近所の人々など身近な人とまず交流をしていきます。はじめはママやパパと一緒に、次に子どもだけでなどさまざまなコミュニケーションの場面に慣れさせることが有益です。

感情表現の方法を教える

自分の気持ちや考えを適切に表現する方法を学ぶことで、友達との会話の幅が広がります。
絵本やアニメなどを見ながら「この子はどんな気持ちだと思う?」等質問しながら感情表現の方法を見てみてもいいかもしれません。

専門家の支援を検討する

保育園や幼稚園など日常生活で本人または保護者の方が困ってるのであれば、専門家のいる施設に相談をしにいくのも有効です。

自宅で練習を行うとき、相手側はまず「ゆっくり短い言葉で」を意識すると子どもは理解しやすいですよ。
会話を楽しむ!という気持ちを忘れず、子どもが思っているのと違う反応をしてもできるかぎり楽しい雰囲気で会話の練習を続けていきましょう♪

まとめ

今回はお友達との会話が上手にできない子への接し方についてご紹介しました。
子どもは自分が上手にできていないということを、誰よりも分かっており心が傷ついていたり、不安に思っていたりするものです。どうしてもわが子のことになると、焦ってしまうこともあるとは思いますが、その子のペースに合わせて関わっていってくださいね。

言語聴覚士*はる

経歴:言語聴覚士歴:10年目

2児の母をしながら、児童発達支援施設にて、楽しく遊びながら子供たちの「伝えたい!」という気持ちを育てることをモットーに

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