【体験談】自閉症?HSC?知的クラスへの進級を決めるまで
当事者ママ*シキ
2024/11/20
はじめに
お子さんによって発達特性はそれぞれだと思いますが、 我が子の場合は言葉の遅れは1歳の内にすでに指摘され始め、1歳半の時には療育園への紹介状を書かれました。
著しい言葉の遅れ
ある日、公園に行ったとき、ハクセキレイを見つけました。 動植物が好きな子だったので「ほら、見てごらん。チッチがいるよ」と教えてあげると、 息子は、震える手で私の手をギュッと握り、すうっと息を吸って、一音一音、間違えないように、集中して、丁寧に「てぃっ てぃー…」と、不安に満ちた声で言ったのです。 「うん、そうだね。チッチだね」と、あえて当然のように私が答えると、「自分の発音が相手に通じた」と安心したのか、何度もゆっくり「てぃっ てぃー」と言ってはこちらを確認して笑っていました。その時に確信しました。 この子は喋れないのではなく、自分が周りの人(大人)のような発音ができないことを自覚しているために、自信を持てずに喋れないだけなのだ、と。 あまりにも完ぺき主義で、賢すぎるが故の弊害なのだろう、と。 そのときには、私は息子のことをHSCではないだろうか、と考えていました。
療育園へ通ってから
療育園へ通うようになり、担当の先生とも良好な関係が築けました。
わたしも普段から細かいエピソードを先生と共有し、上述の内容も話してはいましたが、
最初の内は「この年の子がさすがにそこまではわからないのでは」と苦笑いされていました。
しかし、一年通った結果、下された診断は「賢すぎるが故に、周りと自分を比較し、完璧にこなせないことを自覚して自信が持てないために、
発語したがらないのではないか」という、私の見解を裏付けるものでした。
療育園での勉強内容も「想定より少しレベルの高いものを準備するのに、いつもそれ以上をこなしてしまう」と言われていました。
HSCの可能性も伝えてはありましたが、「確かにお子さんはHSCの可能性も高いが、
この年齢では出てくる症状が自閉症とほとんど同じなので判別ができない」ということで、とりあえず自閉症の診断をつけられています。
知能テストの結果
小学校就学前に、今後の方針の一助とするために、と知能テストを受けることになりました。
療育園でも幼稚園でも、不器用ではあるものの真面目な努力家で、気は弱いけれども誰に対しても分け隔てなく優しくできる子だったので、
大きな問題はないように思われていたため、支援クラスは考えていませんでした。
しかし、いざ知能テストを受けると、知的障害を示す数値が出たのです。
結果を受けて考えたこと
当時は驚き、「この数値のために彼の選択肢を狭められたらどうしよう」と不安に思ったのですが、 療育園の担当医には「これは恐らく、お子さんの本来の力が出せなかったからで、力が出せていたらもっと上の数値が出ていたはずです。ただ、大事なのは、お子さんが「普段と違う環境だと、これだけ本来の力を出せず委縮してしまう」という事を説明されました。
「小学校に上がると、様々な環境で活動することを求められます。その時に、サポートしてくれる人がいるのといないのとでは、お子さんの楽さが全く違います。 診断名を理由に、サポートをつけてもらうこともできる、という選択肢が増えたと考えてください」という風に説明されました。 担当医の説明にわたしも主人も納得し、支援クラスを希望することにしました。
情緒か知的か
知的障害の数値がでたのが遅かったこともあり、就学先相談の際には情緒クラス希望としていました。
しかし、2学期に入り、小学校の支援クラスへの見学に行くと、コーディネーターの先生に知的クラスと情緒クラスの雰囲気の違いを説明されました。
「その時のメンバーにも寄るので一概には言えないが、情緒クラスは多動の子が多く騒がしいクラスになる傾向があり、先生の対応も厳しめになる。
知的クラスは穏やかな子が多く、落ち着いた雰囲気になる事が多い」というのです。
息子は、騒がしい雰囲気に委縮する子です。最後の就学希望を出す期限が迫っており、慌てて知的クラス希望に変更しました。
しかし、最後の就学希望は実質、それ以前の希望の確認であり、今からの変更は認められないと言われたのです。
途方に暮れる中、教育委員会の担当のお一人が、直接お電話をくださりました。
「なぜ希望を変更されたのか、個人的に気になって」と聞いてくださったので、今までの経緯を全て話すと「お母さんのお気持ちはわかりました」と言ってくださいました。
その後、知的クラスへの変更が受理された連絡が来ると、療育園の先生から「実は、知的と情緒の違いを気にしていた。知的の方が合うと思う。本当に良かった」と安心されました。
知的クラスに入って
ちょうどコロナ渦で、新年度スタートから休校していました。
休校が明けても、まずクラスの半分ずつの登校で始まり、徐々にクラス全員の授業、授業時間の拡大、と、例年にないスロースタートとなりました。
これが、我が子には合っており、無理なくスタートを切られたと思っています。
ただ、やはり本格的に授業が始まると、最初の2週間は暗い顔で緊張して登下校していました。
それが、2週間たったある日、明るい笑顔で嬉しそうに帰ってきたのです。
「母さん、僕、お友だちができた!」そのお友だちとは、知的クラスの子たちでした。
知的クラスの同学年の子は、彼のほかに2人いるのですが、2人ともが穏やかで優しい性格のため、気が合ったようです。
5年生になった今も「親友」と言って、ずっと仲良しです。
入学するまで、多くのことを悩みましたが、彼にとって一番良い環境を得られたのではないか、と、その2人のお子さんのママたちとも話しています。
まとめ
支援クラスを利用するかどうか、知的にするか情緒にするかなど、悩まれる方は多いと思いますが、頼れるところには思い切って片っ端から頼り、相談してみてください。
きっと、どこかで突破口が開けるだろうと思います。
みなさんが、お子さんとご家族にとって少しでも良い環境を選んでいけますように。
※この記事は体験談として掲載させていただいております。気になる症状がある方は医療機関への受診をお願いいたします。
※写真はイメージです。
当事者ママ*シキ
経歴:自閉症なのかHSCなのか? 強気な小1と弱気な小5と一緒に、毎日奮闘中です。