幼稚園?療育園?公認心理士が教える園選びのポイント!
ライター:公認心理師*けい先生
2024.10.25
はじめに
お子さんの発達に心配があると、幼稚園に入園させた方がいいのか、療育園に通った方がいいのか、と悩みますよね。 発達の遅れや偏りがあるお子さんにとって、お子さんに合った環境を選ぶことはとても大切です。 療育園の方がじっくり見てもらえそうだけれど、幼稚園で刺激を受けるともっと伸びるかもしれないし…となかなか答えが出せないことでしょう。 お子さんの成長発達に適している園を考える際には、お子さんの特性や課題を考慮することが大切です。
①幼稚園と療育園の違い
幼稚園は教育の場
幼稚園は、園ごとに教育目標があり、毎日の過ごし方は園によって大きく異なります。
自由遊びが中心で、その中から子どもの興味関心を広げることを大切にしている園もありますし、学習を取り入れて英語や文字の学習を早くから始める園もあります。
1クラスの人数が多く、基本的には担任の先生が一人で子どもたちを指導します。
そのため、集団の指示が聞けなければ、安心して園生活を送ることが困難になります。
一人一人、個別に声をかけてもらうのは難しいですが、その分、子ども同士でコミュニケーションを取り、集団生活を送ることになります。
結果的に、社会性やコミュニケーションスキルが自然に育まれることになります。
療育園は治療教育の場
療育園ではお子さんの発達によって、目標が異なりますので、個々の特性や課題に対した専門的なアプローチが行われます。
療育は「治療と教育」であり、「ていねいな子育て」とも言われます。
お子さんの特性や発達に合わせたプログラムが組まれ、安心して過ごせるよう、小集団にも複数のスタッフがつきます。
言語指導を行う言語聴覚士、身体全体の運動発達や協調運動といった運動面の発達を支える作業療法士や理学療法士、
社会性やコミュニケーションの発達支援や発達検査を行う公認心理師、遊びや保育を支える保育士など、各方面の専門家がいる療育園もあります。
支援を受けながら、出来ることを増やすアプローチが行われるため、お子さんの心の中に達成感が積み重なっていきます。小集団で行われる療育だけではなく個別の療育もあります。
かんしゃくがひどかったり、落ち着きがなく座っていられなかったりといった行動面の課題に対しても、
特性を考慮した対処が行われるため、お子さんにとってもママパパにとっても安心です。
園選びのポイント
何より大切なことは、お子さんの発達の特性や課題を確認し、合う環境を探すことです。
先生や同年代の子どもに興味があり、集団の指示に従う力が育っているか、園生活で社会性を育てたり、
コミュニケーションスキルを身につけたりする力があるか、といったことは重要です。
その力がまだあまり育っていない時には、どのような支援がどれくらいの頻度あるとよいのかを考え、その支援が園でできるのかを確認します。
この時期のお子さんの発達は目覚ましく、伸びしろが多くある時期です。そのため、静かにあまり他児ともかかわらず園生活が終わるのはもったいないことです。
お子さんにとって分かりやすい環境を提供してくれるということは大切な視点です。
入園前に、個別の声かけや加配などの必要な手助けがあるのか、お子さんのできることが増えるようサポートしてくれるのかどうかを確認しましょう。
お子さんが今の生活で困っていたり、客観的に見て今後、困る可能性があったりする場合は療育の必要性が出てきます。
子どもにあった環境の選び方って?
園の環境やスタッフ、幼稚園なら教育の内容、療育なら提供されるプログラムを確認し、お子さんが安心して過ごせる環境かどうかを見極めましょう。 最近では、幼稚園では園を解放して見学させてくれる日を設けていたり、 プレ幼稚園といって入園前に通える2歳児クラスがあったりする園もありますので、いくつか見学に行かれるとよいかもしれません。 療育園も同様に、見学は入園する前に必ずさせてもらいましょう。 機会があれば、積極的に他の保護者や専門家のアドバイスをもらえるといいですね。周囲の意見を参考にし、お子さんにとって適切な園を選ぶことも重要です。子どもの特性の伝え方
お子さんに合いそうな園が見つかったら、特性を理解して受け入れてもらえるように、発達について気がかりなことは園に伝えた方がよいでしょう。 最初から色眼鏡で見られたくないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、それで入園を断られるような場合は、 その園がお子さんに適したサポートをすることは難しいのだと考え、他の選択肢を探すようにしましょう。 最近では幼稚園に通いながら、療育園にも通うお子さんが増えています。幼稚園に週3回、療育園は週に2回、といった並行通園が可能な場合があります。 幼稚園によっては、保護者の付き添いを許可してくれるところもあります。また、集団生活になじみにくく、行動面での安全を守らなければいけないお子さんの場合は、加配の手続きを取り、特性に合わせた支援をしてくれることもあります。 ですが、園によって随分、対応は異なりますので、事前にきちんと確認しておくことが必要です。 そして入園後も、お子さんにとってよい環境を作るためには、ママパパと園の先生方との協力関係は非常に大切なポイントになります。
おわりに
最終的に幼稚園、療育園のどちらが良いかは、子どもの特性と課題、お子さんの成長発達を踏まえ、最適な環境を選択します。 通える範囲で、幼稚園、療育園を複数見学し、スタッフと話し合うことは、子どもに最も適した環境を見つける手助けになります。 どちらの選択肢も一長一短がありますので、お子さんの成長発達のためにどちらがよいか、ポイントを押さえてよく考えていきましょう。
けい先生
経歴:心理士 27年目
心理士 27年 発達の偏り、不登校などの子育ての相談業務を担当してきました。2児の母です。