【感覚統合】ボールを上手に投げれない、キャッチが出来ない… どうしたら良い?
ライター:作業療法士*てつ先生
2024.08.26
ボール遊びという身近で何気ない遊びの中でも、お子さんの特性や運動の苦手な部分などを発見することができます。 今回は、ボール遊びの中で気付ける点やその支援方法などを取り上げていきたいと思います。
ボール遊びの運動が苦手な子の特徴
作業療法士として私が関わってきたお子さんの中で、ボールを投げる時に相手にボールが向かわず、天井にボールがぶつかったり、中には床に一直線にぶつかってしまうことがよく見られます。 ボールをキャッチしようと試みるも、何度もお子さんの額にボールが当たってしまい、取り損ねてしまいます。 その際、お子さんは両腕を伸ばしてボールが向かってくるのを待っていますがなかなか取れません。
ボールを投げる動きを分析すると
投げることに関しては、「順序立てた動き」が苦手なことが考えられます。 ボールを投げる時の動きを順序立てるとこうなります。
腕を後ろに引く
↓
腕を振ると同時にタイミングよく
ボールを離す
この順序立てで、相手にボールを投げることができます。 しかし発達特性などで順序立てた動きが苦手だと、腕を上手に振れたとしてもボールを手放すタイミングが分かりません。そのためボールが天井や床に向かってしまうことが考えられます。
ボールをキャッチする動きを分析すると
ボールのキャッチが苦手な子の共通点は?
苦手な子に共通することは、キャッチする際に目でボールに焦点を当てることが難しく、眼球運動が拙い点です。
素早く眼球を動かすことや一点に集中して見続けることも難しい様子が見られます。
また、ボールが向かってくる前から両手を力いっぱい伸ばしてキャッチしようとする様子を見るとボールがくることを理解しているようにも見えます。
しかし、これはボールがどこに向かってくるのかを予測することが苦手なため、「逆に腕を伸ばしていないと取れない」ということが考えられます。
一連の動きと順序立て
ボールをキャッチする一連の動きとは…
ボールがくることを認知
↓
ボールの着地点を予測
↓
腕を伸ばして取る
ということです。 この動きを順序立てて実行することが難しいとキャッチが苦手になってしまいます。 キャッチができる子は腕を伸ばしていなくてもボールの着地点を予測し、そこに入ることができます。
問題点を日常生活に当てはめてみると
ボール遊びの中で見られた苦手さが日常生活の問題として現れることもあります。
例え、眼球運動が拙く、物事を一点に集中して見続けることが苦手であったり、素早く眼球を動かすことの苦手さが観察されたときに考えられる日常生活の困りごとは…
・黒板に書かれてある文字を手元のノートに写す板書が苦手
・一つのことに集中して物事を取り組むことが苦手であり、注意がそれやすい
・衝動性にまかせて行動してしまい、その場の思いつきで行動してしまう
このように何気ないボール遊びの中でもその子自身の特性や、日常生活の苦手なこと、困りごとをある程度予測することができます。
上手にボールを投げたり、キャッチできるようになるには?
ボールのサイズと投げ方
最初に大きいボールを使い、両腕で投げることをおすすめします。
片手でボールを投げることが苦手なお子さんは、手を放すタイミングが分からないことが多いです。
両腕で投げることで、手を放すのタイミングが分かりやすく、身体を安定させることができます。
さらにゲーム感覚で標的に向かって投げることで、よりボールを投げる感覚が掴みやすくなります。
私が勤務する放課後デイサービスではペットボトルなどを使ってゲーム感覚でボールを投げてもらっています。
キャッチの練習はどうする?
ある程度ボールを投げることが上手になれば、次はボールキャッチの練習が理想的です。 この時も大きめのボールを使いましょう。 練習を行う際はお子さんに対して前方から投げるだけではなく、左右など様々な角度から投げてあげると眼球運動の練習にもなるので効果的です。まとめ
現代はテレビゲームをする子が増え、長時間目を一点だけに集中するため、目を動かす機会が少なくなっています。
目を動かさない時間が長いと目の筋肉が衰え、日常生活に支障が出る可能性もあります。
さらに目は脳と深い繋がりがあり、動かすことで脳が活性化されます。
たくさん目や身体を動かすと脳の活性化や身体機能の成長がより高まるので、ボールや遊具を使った遊びがおすすめです!
てつ先生
経歴:作業療法士 11年目
作業療法士として働いています!
感覚統合や運動療法、作業活動などを通して、子供達が楽しく成長出来る事を目指して日々努力しています。