【作業療法士が解説】音読やお話の苦手意識はどこから?楽しくできる苦手解消法!

作業療法士*てつ先生

2024/12/02

はじめに

学校の授業や宿題では、音読の練習は多いと思います。 音読に苦手意識があるお子さんは、その音読の宿題を嫌がったり、嫌がりながらも取り組むお子さんが多いのではないでしょうか。 音読と共通して、お話のやり取りが苦手なお子さんも多く見受けられていると思います。 一方的な会話でまとまりがなかったり、急に会話が止まることも多いかもしれません。
今回は、音読やお話しが苦手なお子さんに対するアプローチなどをそれぞれお伝えしていきたいと思います。

音読が苦手な理由

音読が苦手なお子さんに多く見られているのが「眼球運動」と呼ばれる文章を目で追う力が弱いことが挙げられます。 文章を正しく目で追うことが苦手な場合は、読んでいる文章を途中で見失い、「今どこを読んでいたのか」わからなくなってしまいます。 そうなると、文章を読み飛ばしてしまい、同じ文章をくり返し読んでしまう原因にもなります。 さらに、音読をすることは目の運動に加え、「言葉を理解しながら声に出す」こともしなければなりません。
発達特性のあるお子さんは2つのことを同時に実行することが苦手な場合が多く、「目で文章を追う」ことと「言葉を理解しながら声に出す」ことを同時に行うことは子どもが混乱する原因にもなってしまいます。

お話が苦手な理由

発達特性のある子の中には、言葉が出づらいお子さんも多いですが、なかには会話が急に止まったり、思いついた話題を急に話し出してしまう子も多いです。
お話が苦手な子に多い共通点は、「話の順序や会話の内容を記憶」することが苦手なお子さんが多いです。 話の順序が苦手になると主語や述語がなかったり、「〇〇くんと遊んだ」と母親に伝えたいところが「遊んだ」と伝えたり「〇〇くんいた」など話を順序立てて伝えることが難しくなります。 会話の記憶とは、短期的な記憶を意味します。
これはワーキングメモリーとも呼ばれ、会話をした内容を覚えることが難しく、自分の思いつきで話してしまい、会話にまとまりがなくなってしまいます。 お話が苦手になってしまう原因には、特性も関係しており、ADHDやASDなどの子は特に上記のような特徴が見受けられています。

音読が苦手な子へのアプローチ

音読が苦手な場合は、工夫次第で文章が読みやすくなります。 例えば定規などを一行づつ当てて、読む一行だけ見やすくする方法があります。
文章が多すぎると、情報量が多く読みたい文章だけを目で追うことが難しくなってしまいます。 定規や紙などでできるだけ情報量を少なくしてあげることで音読がしやすくなります。リーディングトラッカー等と呼ばれる読書補助の道具もありますよ。

文章を目で追う事が苦手なお子さんは、寄り目の動きが特に苦手だと考えられます。 近い距離での字を読む時や向かってくる物をキャッチする際は寄り目の動きが必要になります。 このような寄り目の動きが苦手なお子さんに対するアプローチとしては運動の中で寄り目の動きを促してあげることが大切です。
寄り目の動きを促す方法としては、キャッチボール、サッカー、風船バレーなどがあります。楽しみながら寄り目の動きを促すことが大切であり、ボールなどを目で追うことは音読の苦手さの克服にもつながります。

お話が苦手な子へのアプローチ

順序立てた会話やワーキングメモリーが弱いお子さんに対しては、「会話を整理してあげる」ことが大切です。 お子さんの伝えた内容に対して、「〇〇と言いたかったんだね」「それは〇〇ってことだね」とお子さんとの会話の中で話を振り返る機会を作ることが大切になります。 こういったアプローチを行うことで、会話の繋がりを理解することができ、ワーキングメモリーの記憶の部分においても補えることができます。

おわりに

お話をすることには、順序立てたことや短期的な記憶を保持する能力が関与します。 この能力を鍛えるには、日常での自然な会話の中で鍛えることが大切だと思います。
特に保護者との会話の中で、子どもが伝えきれない部分を補ってあげることで、お子さんの理解力にも繋がります。 音読では特に目の力が関わってくる部分であるため、遊びの中で目の力を鍛えることが寄り目の動きを鍛えることにも繋がりますよ。 普段の会話や遊びの中で、ぜひ試してみてくださいね。

作業療法士*てつ先生

経歴:作業療法士歴11年

作業療法士として働いています! 感覚統合や運動療法、作業活動などを通して、子供達が楽しく成長出来る事を目指して日々努力しています。

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