【体験談】当時3歳、今思えば… 息子の障害が診断されるまで

当事者ママ*アリさん

2024/09/18

息子の障がいがあると診断されたのは当時5歳の年中さんの時でした。 外見では判断できない障がいの早期発見は、専門の医師でも正確に診断するのは難しいと言われているそうです。
今思うと3歳の頃から「この子って…?」と心配でいたものの、そこから更に2年経つまで息子の障がいを明確にしてもらう事ができませんでした。 今回は、自閉症スペクトラムと診断されるまでと、診断を受けた時の心情もお話ししていきたいと思います。

のんびりだった成長

息子が2語文(ごはんたべる。おもちゃほしい。など)を話し出したのは、当時3歳になる頃でした。 言葉の理解はできず、自分の意思と違う事が起きれば癇癪が起きてしまうような子でした。 それでも、初めての育児で右も左も分からなかったからか、それが「当たり前」になっていました。 そのため息子の成長も多少遅いと感じる程度で、私も息子を取り巻く人達も「時間が経てば大丈夫だろう」と思い、焦る事もなく生活していました。

幼稚園の入園で心配事が増える

息子は3歳になり、幼稚園に無事入園しましたが、同世代の子供達と比べ明らかに集団行動ができずにいたり、言葉の遅れが見られました。 クラスの音楽発表会では、ステージ台の上に立っている事ができず、後ろで補助の先生が寄り添ってくれましたが、 練習で台を踏み外す場面があったことから先生から「今回は安全を考慮にて椅子に座らせて演奏させます。」と事前報告を受けました。
それに加えて、クラスでは慣れるまで常に号泣していた事や、息子のためのセーフゾーンの段ボールハウスができていたり、 言葉の遅れを先生にも少し心配されたり、もしかしたら息子には療育が必要かもしれないと焦りを感じ、3歳半検診で初めて相談を受ける事にしました。

診断を受けるまで時間がかかる

療育センターでの手続き

療育センターでは息子が受ける療育の手続きから、知能の検査、医師の診断を出すための予約をしていました。 検査を受けるまで約半年は予約でいっぱいでした。さらに診断を受けるまでは、最低でも3回程の検査や面談で療育センターへ息子を連れて行く必要がありました。 移動手段が徒歩だったので、ベビーカーに息子を乗せて苦手な市バスを乗り継いで向かうのがとても大変でした。

療育へ通い始めるまで

私が住む地域では、障害の診断がついていなくても、療育に通う通所届を発行すれば療育を受ける事ができます。 これは、各都道府県によって違うようです。場合によっては、障がい者手帳がないと通う事ができない場合もあるそうです。 療育へ通うための書類の作成も療育センターにお願いし、市役所に提出したりと様々な手続きが必要でした。 その後、4歳から療育へ通い始めることになりました。

障害を診断してもらう

4歳から始まった療育

4歳から始まった療育には順調に通うことができ、本人も少しずつ成長する部分がみられてきました。 今まではお友達に関心がなく一緒に遊べなかった息子が、お友達と会話をして一緒に遊んでる姿が見られました。 幼稚園でも、セーフティゾーンを作らずクラスのお友達と同じ事に挑戦するなど、人と関わる事ができるようになりました。
特に、年長になると前に出て話すという大きな役割を任せてもらえたり、周りのお友だちとも変わらず生活できるようになっていました。 その間、療育センターでの検査の予約の日を迎えることができました。

初めて受けた検査

初めて受けた検査は「田中ビネー知能検査」でした。この検査で、知能指数や精神年齢を知ることができます。 この検査は今現在小学生になっても各機関に面談や説明する時に必要な検査結果になり、今後の療育や診断をする上で必要な検査になりました。 その時の検査では、得意な事と不得意な事の凸凹が分かりました。

得意な事は、瞬間的に聞いて覚えたりすることです。 思い返すと、聞いた自分の好きな歌は英語でも覚えていたり、幼稚園の劇の発表会のセリフは、全員分をとても早く覚えていました。
不得意な所は、話を最後まで聞けずに自分の解釈で答えを出してしまうことです。そのため、単純な問題でもすぐ引っかかってしまうようでした。 生活の中でも、マイルールが作られてしまうとそれを踏まえて変える事ができず、癇癪に繋がっているのだとわかりました。

検査結果と診断

総合的な結果として、知能指数は高いですが、精神年齢は低く、半年~1才程の遅れがある事が分かりました。 検査結果が出てから半年程たった頃、検査の結果と医師との面談で、息子が5歳のとき、正式に自閉症スペクトラムと診断を受けました。

診断を受けて感じた事

診断までの葛藤と不安

診断を受けるまで、息子に障害があるのか?ないのか?あったらどうしよう…と、ついネガティブに考えることが多かったり、 周りを気にして比べてしまったり、精神的に不安な日々が続いていました。
しかし、医師からの「自閉症スペクトラムです」という言葉をきいて、私の中にあった重荷が一つ消えたようにスッと気持ちが楽になりました。 それは、心の中で濁していた「障がい」と向き合って行くという決心もできたからだと思います。

障がいを通して感じるようになったこと

また、障がいについてもポジティブに捉えるようになりました。 息子が産まれてきたから、大変なことも含めて今まで経験できなかった事ができていると、今感じています。 息子の障がいを通して、より福祉の世界に興味も持ったり勉強をする機会もふえました。

「人と比べない」「自分達らしくて良い」そんな事を最近は、子供達をみて思えるようになり、私も母親として1人の人間として自己肯定感を前より上げられるようになりました。
家族の形はそれぞれです。家族みんなが笑顔で生きていけるように、私は家族みんなで障害も向き合いサポートしあっていきたいと思っています。

最後に

私の経験談から少しでも参考になる事があればと思います。 子供について気になる事があったり、心配がある時は、医療機関や行政など相談できるところが色々あります。是非、まずは話してみると良いと思います。

※この記事は体験談として掲載させていただいております。気になる症状がある方は医療機関への受診をお願いいたします。
※写真はイメージです。

当事者ママ*アリさん

経歴:8歳6歳4歳を育てる3児の母です。 みんな違ってみんな良いをモットーに育児に奮闘中です

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